スモールビジネスにおいて、まず課題となるのが集客です。
集客用の資金が準備できない状況の中で、どうやってお客様を集めるのかが問題です。
その解決策のひとつとして、「ちょい人気者」になるマーケティング戦略をご紹介します。
インターネットについて
インターネットの残酷な真実
まず初めに、インターネットには厳しい現実があります。
それは「お金を持っている者が圧倒的に強い」ということです。
これは現実の世界と一緒です。
たとえば、Webサイトを作るにも、広告を出稿するにもお金が必要になります。
スキルの高いデザイナーに依頼して、より完成度の高いWebサイトを制作するには、より多くの制作費が必要になります。
多くの方へ広告を配信するにも、より多くの広告費がなければなりません。
多くのサービスは無料プランが用意されていますが、有料プランが設定されているものがほとんどです。
そして、かゆい所に手が届く部分は有料になっていることが大半です。
有料プランに登録することで、そのユーザーは優遇され、より有利な状況にもなります。
SNSは無料で運営が可能ですが、予算のある企業は広告を使うことでフォロワーを集めたり、キャンペーンの拡散を行っています。
ここにも、資金を持っている方が強いという事実があります。
もうひとつの真実
もうひとつの真実として、「お金を持っている者にはさらにお金が集まる」というものがあります。
たとえば、SNSで広告費を投じてフォロワーを集めたとします。
フォロワーが増えると、話題になったり口コミが広がったりする可能性も高くなります。
SNS上でも、より有利なポジションに表示されることもあります。
そうすると、ユーザーの目につくため、更にフォロワーが増えます。
フォロワーが増えると、さらに目立つため、もっとフォロワーが増えます。
つまり、「口コミが口コミを呼ぶ」という状態です。
インターネットにおいては、「増えれば増えるほど、もっと増える」という特性があります。(ネットワーク外部性)
しかし、その増え始めるタイミングまで、どれくらいの期間がかかるかは誰にもわかりません。
最低でも数ヵ月~数年以上はかかる、と考えておく必要があります。
なお、この急激に増え始める転換点をティッピングポイントといいます。
ティッピングポイントに到達するまでは、地道に集客を続ける必要があります。

そして、現実にはそこまで頑張れないという方も少なくありません。
また、企業は広告を使うことで、無理やりこの状態を作り、短期間に収益拡大を狙うこともあります。
インターネットの特性と「ちょい人気者」
じゃあ、インターネット集客は難しいのか、というとそうでもないのです。
インターネットには別の特性もあります。
「人気者は少数。ただ、みんなそれぞれに少しずつのファンがいる。」というものです(ロングテールの法則)。
学校のクラスでも、みんなが好きな人気者はクラスに1人か2人だったはずです。
しかし、その他大勢でも、好きになってくれた人はゼロではなかったはずです。
そして、すごい人気者ほどの人気はないのだけど、ちょっとだけ人気のある「ちょい人気者」な人たちがいたはずです。
多くのスモールビジネス事業者が目指すのは、この「ちょい人気者」です。
すごい人気者には簡単になれませんが、頑張ればちょい人気者になれるということです。

ただ、「ちょい人気者」なら簡単になれるというわけではなく、地道に一生懸命頑張って、やっとこのポジションにいけるという感覚です。
でも、頑張れば少しは稼げると考えることができれば、少し気持ちが楽ではないですか?
ちょい人気者になるには
さて、前置きが長くなりましたが、本題です。
じゃあ、このちょい人気者にどうやったらなれるのか、が問題です。
そのためには、全体的なマーケティング戦略が重要です。
細かな戦術(インターネット広告を使うとか、SNSを使うとか)は後回しです。
まずは、全体像を描くことが大切です。
全体像を描くのに大切なことは、「ターゲットユーザーは誰ですか?そのユーザーは何を求めていますか?」です。
この質問はビジネスを開始する際に考えた方も多いと思います。
これはマーケティング戦略においても重要です。
曖昧だった人はもう一度考えてみましょう。
ちょい人気者には、たくさんのファンは必要なく、「ニッチなジャンルで、コアなファンがいる」というポジションであることが重要です。
そのためには、派手に宣伝を行う必要もありません。
ちょい人気者のマーケティング戦略
ちょい人気者の基本的なマーケティング戦略は5つです。
- ターゲットを絞る(ターゲティング)
顧客層を絞り込むことで、特定の顧客に特化したサービスや商品を提供することができます。
これは、消費者にとって価値のある商品やサービスを作る際の鍵となります。 - 他事業者とは違った価値を提供する(差別化)
競合他社とは異なる独自の価値を持つ商品やサービスを提供することで、消費者が選択する理由を持つことができます。 - コアなファンと深い信頼関係を結ぶ(顧客との信頼関係構築)
顧客との強固な関係は、リピートや口コミをもたらすことが多いです。
信頼関係は長期的な成功の鍵となります。 - 色々なところに網を張る(いわゆるWebマーケティング/デジタルマーケティング)
インターネットは、新しい顧客を引き付けるためのツールとして非常に効果的です。
定期的に情報発信をするなど、多様な顧客にアピールすることが重要です。 - 地道に継続する(最後は努力)
どんなビジネスでも、成功するためには継続的な努力が必要です。
短期的な結果に囚われず、長期的なビジョンを持ち続けることが大切です。
おそらく、「色々なところに網を張る」を頑張っている方は多いと思います。
たとえば、「YouTubeで毎日動画配信」とか、「Twitterで1日に3回ツイート」とか、「無料セミナーの実施」とかです。
様々な本や情報を見ても、この「網を張ること」についてはたくさん情報が出ているはずです。
そして、宣伝手法については、一般に流通しているものがほとんどです。
誰も知らないような、あっと驚く手法があるわけではないです。
むしろ、地道な継続と努力が、高い効果を生むことがほとんどです。
しかし、ターゲティングと差別化を洗練させることで、唯一無二のポジションを築くことはできます。
加えて、顧客との信頼関係構築ができれば、より長期的なビジネスの収益が見込めるようになります。
ターゲティング、差別化、顧客との信頼関係は、相互に作用するトライアングルとなっています。
この3つがしっかりかみ合えば、より強力なポジションを築き、長期的なビジネスの成功を達成することも可能です。

まずは、ターゲットを絞って、(何か一つで良いので)他事業者とは違う価値を提供することが重要です。
この2つが明確になると、網を張ることがより効果を発揮するようになります。
マーケティング戦術について
具体的なマーケティング戦術としては、おおむね3つあります。
- 広告以外のインターネット集客
- インターネット広告
- オフライン集客
実は、オフライン集客はスモールビジネスであればかなり有効です。
やはり、顔が見える間柄の方からは、ご指名をいただけることが多いです。
もし可能なら積極的に活用するのがよいかと思います。
インターネット広告を行う予算はないと思いますので、地道に広告以外のインターネット集客で収益を上げていくことになります。
現在は、様々なインターネット集客手法が存在しますので、書籍やネット情報を参考にしながら、進めるのがよいかと思います。
ただし、重要なのは全体的なマーケティング戦略です。
戦略がなくなってしまうと、しだいに何のためにやっているのかわからなくなり、結局上手くいくことも少ないです。
常に、全体像を頭の中に描く必要があります。
事例:講師業の受講生募集
たとえば、資格試験の講師業をしているAさんとBさんがいるとします。
インターネット上で次のような受講生募集の発信をしていたとして、どんな印象を受けますか?
■Aさんの発信
「〇〇資格の対策講座の受講生を募集しています。オンラインで毎日講義をしています。総合的な対策講座で、多くの方が受講しています。毎年〇名の合格者がいます。」
■Bさんの発信
「〇〇資格の対策講座の受講生を募集しています。オンラインで土日に集中的に講義をします。合格するために必要な内容だけに絞って勉強するので、お仕事が忙しい方でも合格を目指せます。テキストや問題をスマホアプリでチェックできるようにしてあり、スキマ時間に勉強可能です。」
Aさんの発信は悪くはないと思いますが、何だかふわっとしていませんか?
合格できそうなイメージはあるけど、なんかあまり心に響かないような感じです。
それに対し、Bさんの発信は、「仕事で忙しい人向けの講座で、最小限の力で合格できそうだな」という感じがしませんか?
Bさんは、ご自身も会社員で、平日はお仕事をされています。
取得した資格の知識を活かして、土日に社会人だけに向けて講座を開講しているとのことです。
これがターゲットを絞るということです。
たしかに、Aさんの方が広く受講生を募集できていますし、実際に手広く事業を拡大しており、合格者もたくさんでています。
しかし、スモールビジネスで目指すのはそこではなく、「ニッチでコアなファンしかいないけど、その人たちから熱烈なご指名をいただける状態」。
それが「ちょい人気者」が目指すべき姿です。
- スモールビジネスでは、ちょい人気者を目指す
- ちょい人気者になるには、マーケティング戦略が重要
- ターゲットと差別化をし、顧客と信頼関係を築く
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